A君(17)の戦争1〜4まで読了

借りた本を読むために図書館に行くも、分厚い本を読む気にならず、
こちらを読む。癖のある苛められっ子が神隠しで異世界に。魔王になって戦争に
巻き込まれ。というのがあらすじ。オタクネタや、作者が地の文で
はしゃいでいるのが寒いけど、お約束とは意識してズらした設定と、
一本筋の通った戦争物という点が面白いし、限りなくベタな題材を使ってるのに、
どこに着地するかわからん話の展開には引き込まれる。四巻の話は特に良い。
殻が割れていってジワジワと世界が崩壊していく感じはゾクゾク物。
ずっとこの話が暗喩としている事はなんなのか?と考えさせられた。
こんなベタで軽いノリ作風(あくまで風)でオチャラケた筆者だから、
ひょっとしたら本気で話の展開から「逃げた」のかも?
という一抹の不安を感じさせながらも蓋を開ければ見事な出来。なにもかも、
印象を与えといてそれを裏切るための筆者の罠のような気がしてきた。
考えすぎかもしれんけど。


や。結構好きなんですが、気になる点もちらほら。一見駄目駄目で、内面も
捻くれてると称した主人公を実は凄い奴なんですよー。と描写する際に、
両親の教育の賜物である。とか、人の良い点を素直に認められる点である。
とか、色々書いてるんですが、その描写がクド過ぎる点。いや、実は凄い奴
なんだってのは判ったから落ち着け。と言いたくなる程頻繁にこの手の文章が
出てくるのには閉口する。おまけにその描写は大抵思考停止型の馬鹿とは
違うのであるだとか、妙に具体的な他人との比較ばかりでやるから、
その辺りの暗になりきれてない他人批判の嫌らしさがウザったい。
後は、ジャンル批判とオタク批判も結構含まれてる。
つーかこの人、オタク嫌いじゃないのか? ネタが古くて
滑ってる上に上っ面な感じがするし。「俺はオタクな主人公なんて書くのは本当は
嫌なんだよボケ!主人公はなぁ!確かにオタクはオタクだけど手前等みたいに
無能じゃねぇし腐ってねぇんだよ!実用的知識に長けたっていう意味でオタク
なんだわかったか!」と必死になって訴えてるかの如く感じられてしまうんだよね。


や。面白いですよ?批判の文の方が長いけど、それは俺が難癖をつけるのが
好きなだけなので。