フルメタル・パニック! つづくオン・マイ・オウン」読了
文句のつけようがねぇくらいに面白かった。長編や、短編を通して
築き上げてきた日常があるからこその急転直下のシリアス展開が
生きる。えげつないくらいボコボコに追い詰められた絶望的な
戦況下で、どんな反撃手段があるのか想像もつかない。
続きが気になってしょうがない。


デイバイディでもそうだったけど、一度、惰性とも
思われるような繰り返しを作っておいてから、それを自ら
ぶっ壊してしまう潔さというか、タメの作り方は最大級の賛辞
で褒め称えたいくらいのものだと思う。普通の作家さんなら、
ああ、この作者はもう駄目だと見限る所で爆発する。そう思われる
事すら実は手の上で踊ってるという感じ。短編は正直、好き
じゃなかったんだけど、単なるギャグ物である短編が終わってしまう
平穏な愛すべき日常として長編と繋がった事が素晴らしい。


ギャグとシリアスの垣根が無い作品が好きです。ギャグでやったことが
冗談みたいにシリアスに影響してくるもの。パッと浮かぶところでは
ハーメルンのバイオリン弾き。ポセイドンとか頑張りすぎな。
フルメタも、宗助自体はシリアスな長編だろうが、ギャグの短編だろうが
やってることは変わっているわけではない。ギャグ展開にはなってるが。
今回はそれが生徒の行動に現れていて、作中でも冗談のようだがと書いている
あの部分こそが、垣根の無さを象徴しているようで、一番嬉しかった。