西澤保彦「神のロジック 人間のマジック」

寝る前にちょっと読むつもりが熱中して朝まで。
幻想的な話なのか、ホラーなのか、ドロドロの人間関係話なのか、
それともSF的趣向を用いた作品? 提示されたのは
<学校>とそこに連れてこられ学ぶことになった6人の<生徒たち>。
たったそれだけの設定から物語が進むにつれ、どんどんと謎が
追加され、同時に回答も与えられていく。しかし謎がどういう意味を
持った謎なのか? この回答にはどんな意味があるのか? 方向性が
見えないまま、読み手は「多分、こういうタイプの話だろう」と、
想定する。真相が明かされるまでに登場人物達は仮説を披露し、
その度にそうかもしれない。それならば面白い。と納得してしまう。
どう転ぶかわからない話だからこそ、小出しにされてくるヒントが
面白くて面白くて話に引き込まれます。そして衝撃の結末。反転する認識。
ラストの情景もまたなんともいえぬ余韻が素晴らしい。
結末とそれが導かれるまでの過程だけが楽しいのではなく、キャラの魅力、
心理描写の面白さ、読み進めるにつれ何度も変わる作品の印象・雰囲気。
それら全部をひっくるめて満足するに足りる物語だった。
どこかで西澤作品の集大成みたいな言われ方をしているのを見たが、
作者の作品の良い所を同時に味わえるという意味では本当にそんな感じ。