「HERO 英雄」

無駄に長いので、面白いのかどうかだけ見たい人は一番下の段落へ、
感想だけ読んでおこうと思った人は真ん中辺りから。
時間に余裕のある人は一応上から読んでやってください。


忘れる前に書いておこう。ハッチャけたカンフー映画を想像すると肩透かしを
喰らうけど、歴史映画と言うにも若干の抵抗があります。本当にあった事なのか
どうか知りませんが、三人の暗殺者に狙われていた秦王(後の始皇帝)。
その暗殺者三人を討ち取り、その功績により拝謁を許された一人の男。
そこから物語は始まり、拝謁を終え、男が門に出ていき物語は終わります。
その間は本当に一瞬の出来事ですが、彼の口から語られる物語の回想が
映画のメインです。この回想が凝ってて、真偽が交差しながら真相に近づいて
いくという趣向がなかなか面白いです。(後半は繰り返しが酷く退屈でしたが)
ギャグにしか思えないやりとりも、中盤以降に意味が判り俄かに緊迫感が
増すのも良い感じでした。この映画の面白みはワイヤーアクションを多用した
格闘シーンもさることながら、赤、青、黄色、黄緑、白、黒等の色を強くアピール
した映像的な要素が強く、格闘シーンも映像的な美しさをアピールするための
道具であったような気がします。後の始皇帝となる男が、真の知己を知り、
己の覇道を貫くという話の為だけの映画。


まぁぶっちゃけた感想を書くと、
格闘シーンがちょっと押さえ気味で退屈でした。まぁ掛け声とか
「ヒィイヤアアァァ―――!」「エィルァァアー!!」とか馬鹿っぽく叫び
ながら水の上跳ねたり、飛んだり回転してるのはやはりギャグ。
存分堪能しました。十歩一殺剣とかのネーミングや、秦王の部下達のハモリっぷり
なんかもアホっぽくて大好き。しかし、最初の刺客の槍の人や、
主人公のリー先生はともかく、女性の格闘シーンは上手いか下手かは素人の俺に
はわかりませんがなんとも迫力に欠けてて、力不足という感じでした。
格闘シーンはやっぱり主役が戦ってなんぼです。多ければいいってもんじゃない。
映像的に魅せる映画だけどカンフーつければ客寝ないんじゃね?的で。
どうせならばカンフーはそれのみで魅せてくれれば最高だったなぁと。
ちょっと演出過多な気がします。(特に木の葉舞い散る所とか)
長くなった来たのでそろそろまとめ。CMでもバンバン出てる弓矢のシーンは圧巻。
これのために観てもいいくらいに素敵でした。映画観終わった後、
英雄とは結局誰だったんだろう?と思いました。
辞書では「才知・気力・武力にひいで、偉大な事業をなしとげる人」
とあります。中国全土を初めて統一し、万里の長城や文字・貨幣の統一をした
始皇帝こそが英雄だろうけど、暗殺をしようと思った者、止めようとした者、
彼等、国を築く礎になって逝った者、その総ての人が英雄だったのだ
という当たり前のようだけどこれ書くまでは気付かなかった結論に達しました。


で、面白かったか?って聞かれると微妙なんですが。その時の気分によって
面白かった!とも言うし、あぁ眠かったよ。と答えるかもしれん。
友人には強く勧め(られ)ないタイプの映画。星つけるなら五段階で☆☆☆くらい。