この世界の片隅に」映画観た。
素晴らしかった。最高だった。凄い映画。
良い点は沢山あるんだけど、一つ。この映画実は
遊郭で出会う女性白木リンさんのエピソードが丸々カットされてるんです。
漫画で言えば上中下巻の中の巻の半分以上。だというのに作品の持つテーマや面白さはまるで損なわれず
完全再現しているし、なおかつそのエピソードをカットしたことによって漫画とまた違った映画だけの解釈と
感動が生まれてるんです。それはタイトルでもある「この世界の片隅に」にまで関わってくる訳で。
尺の都合でカットとかそういうのもあったのかもしれないけど、であれば、リンさん自体をカットしてしまえば良いこと。
だけどリンさん関連のエピソードに纏わるノートや口紅とか小道具が目立つように出てくるし、
最後のクラウドファンディングの映像でもリンさんの半生を描いている。だから監督は「敢えて」カットしたんだと思う。
原作を読んだ人はアニメはいいやって言ったり(俺もよく言う)、逆にアニメから観た人は原作は良いやって
言う事はある。原作を忠実にアニメ化しましたって作品ならばやっぱりアニメ版だけ観とけば良いやって思える。
なんだけど、このアニメ忠実に再現しつつもエピソードを敢えて省略し解釈を与える事で原作の魅力を100%引き出しておりながらも、
アニメ版「この世界の片隅に」だけの良さを生み出してしまっているというのがとにかく凄い。
漫画版には漫画版だけの重要なエピソードがあってまたすずさんや、リンさん、その他家族の関係性も
違った角度で見られる。そして映画には映画でしか出来ない表現が、漫画には漫画しか出来ない表現がなされていて、
漫画版ならでの感動が味わえる(特に右手に関する演出や最後のエピソードの余韻などなど)
スタッフロール中の映像は原作で描かれていなかった「その後」だし、この漫画と映画が相互に補完しあっている関係性、
過去に類を見ないぐらい最高の関係性だと思うんですよね。監督の作品に対する愛が無ければ
絶対に成し得ない凄い執念とこだわりを感じる。だから漫画版で良いやって思ってる人にこそ映画版は最高だから見よう!
ってなるし、映画版見てる人にも漫画版は最高だから読もうって思えるんだよね。
一番最良なのはきっと映画→原作→映画って順番かな。ガラッと印象が変わって解釈が変わる様を楽しめるし、
一周目でのあのシーンや台詞の背景にはこういう事があったのか!って発見もあったりして絶対より楽しめます。




海外版予告だと、本編では未収録のリンさんとのエピソードの一部の映像がある